日本のフィジカルAIの取り組みには、稼働中のヒューマノイド用データ施設と、国産基盤モデルの開発を目指す大規模な公的計画が加わった。両者は関連するニーズに対応するが、確認できる記録からは、施設がモデル計画の予算を受け取ることも、その訓練データを提供することも分からない。

10月5日付のJiji Pressの報道は、日本企業がロボット分野で連携する動きを広く取り上げる中で、これらの計画を紹介した。各計画が何を生み出すために設けられたかを見ると、位置づけが分かりやすい。一方はロボット作業の記録を集めて整え、もう一方は複数種類の情報を扱えるモデルの研究に資金を出す。

大きな変化

  • 何が変わったか: J-HRTIは8月の開設により、会員企業がヒューマノイドの訓練データを作成・共有しつつ、セキュア区域での作業を独自のものとして保持できる場所を提供する。これとは別の国の計画では、国産のマルチモーダルモデル開発にNoetraとAISTが選ばれた。
  • なぜ重要か: J-HRTIを検討する製造業者は、データ収集費用を分担し、自社の作業を試しながら非公開の作業を保持できる。国の計画はモデル研究に資金を出すもので、その予算はJ-HRTIへの助成や、いずれかの取り組みが自律的な工場作業を実現したことを示すものではない。
  • 今後の注目点: J-HRTIの会員条件、公表される作業結果、産業現場への導入実績から、施設の実用範囲が分かる。Noetraのモデルとの関連を主張するなら、データまたは研究に関する合意の記録が必要だが、確認した資料には示されていない。

関東データファクトリーで行われること

J-HRTIコンソーシアムによると、関東データファクトリーは2026年8月26日に千葉県習志野市で全面稼働を開始した。開設告知によると、開始時のヒューマノイドは35台で、最大40台を収容できる。これはそれぞれ開設時に報告された台数と施設の収容能力であり、顧客の職場に導入されたロボット数ではない。

開設告知には、ロボットエリア、アノテーションエリア、テストエリアが記されている。J-HRTIの現在の施設ページでは、訓練、アノテーション、セキュアの各エリアと呼び、共有作業と非公開作業の重要な境界について説明している。操作者は職場を模した環境でロボットを操作し、模倣学習用の実演データを作る。スタッフはその後、動作の成否をラベル付けし、記録を訓練データにする。セキュアエリアでは、会員企業が自社の職場を再現して最終調整を行える。J-HRTIによると、そこでの作業も収集データも他の会員とは共有されない。共同通信PRワイヤー配信の山善の発表によると、スタッフは動作映像と関節データも準備する。

操作者が動作例を提供し、アノテーションで結果を付け、職場固有のテストで調整が必要な箇所を見つける。J-HRTIによると、2026年8月時点で6社の会員が費用を分担し、一部の訓練データと結果を共有している。自社工程を保護しながら協業するか検討する製造業者にとって、セキュアエリアの例外は重要だ。J-HRTIは拠点を10か所に増やし、産業現場にヒューマノイドを導入する計画だが、これはまだ計画である。引用資料には、測定された作業成功率、生産処理量、安全実績、参加工場が自律運転を達成した証拠はない。

施設を検討する製造業者向けに、J-HRTIは参加手順を公開している。最初の説明会、訪問前の秘密保持契約、施設訪問と面談を経て、正式会員の契約に進む。訪問は参加を検討している企業に限られる。施設ページは共有訓練データと非公開のセキュアエリアについて説明しているが、参加費、データセット仕様、データAPIの条件、ベンチマーク結果は示していない。

国のモデル予算が対象とするもの

日本の経済産業省(METI)は、AIロボットとフィジカルAI向けの国産マルチモーダル基盤モデルを開発するため、別個の2026年度予算案3,873億円を示している。予算資料はこれを新規事業枠とし、政府からNEDOへ、さらに委託事業を通じて企業やその他の団体へ資金が流れることを示す。これは事業全体の予算額であり、J-HRTIへの交付金でも関東施設の価格でもない。

2026年6月30日、METIは発表したNEDOがNoetraと産業技術総合研究所(AIST)を2026~2030年度の事業に選定した。METIによると、Noetraはマルチモーダル基盤モデルの開発と提供を担い、AISTは他機関と先端研究に取り組む。METIは想定モデルを、言語、音声、画像、動画、センサーデータを扱えるものと定義している。選定と予算配分は研究の開始と想定範囲を示すが、モデルの完成や産業用ロボットでの性能を示すものではない。

出典・参考資料